行政訴訟判決…補償金増額請求事件(5)


◆S53. 4.28 名古屋地裁 昭和43(行ウ)9 補償金増額請求事件(5)

◆S53. 4.28 名古屋地裁 昭和43(行ウ)9 補償金増額請求事件(5)

させることができない等の理由により一般私人に対する補償ではたりない場合等を考慮して定められたものであり、同要綱一三条二項は最終的には国民に帰属する公共施設財産について、異なる行政庁間の移管のごとき場合の規定であり、「社会通念上妥当と認められるとき」に適用されるのであるから本件輪中堤に適用する余地はない。また、仮りに被告主張のように河川改修工事により右輪中堤がその効用を果さなくなつたとしても、それによる損失はいわゆる起業損失として補償されるべきである。
4 文化財的価値について
木曾・長良・揖斐三河川の中下流地域一帯は往古海であつたが、三河川より流出する土砂により浅瀬が生ずると、住民は同所に上流に向つて釣鐘形の堤防を作り土砂を堆積させ、これを農耕地として利用し、さらに下流部を締切り長円形の堤防となして堤内地を洪水より防禦し、堤防側面の高地に家を建てて居住するという人文地理上特徴のある村落形態、いわゆる輪中を形成してきた。その後明治時代になつてから、いわゆる三川分流工事などにより数多くの輪中堤がほとんど姿を消し、本件福原輪中堤のみが現存する唯一の輪中堤として学界からも高く評価されその消滅が惜しまれていたもので、昭和三七年ころ愛知県教育委員会から原告に対し右輪中堤を愛知県文化財に指定したいとの申し入れがあつたが、原告は水防活動上の支障と住民の意向を考慮しこれを辞退した経緯もあり、右輪中堤が文化財的価値を有することは明らかである。そして、「建設省の直轄の公共事業の施行に伴う損失補償基準」(昭和三八年三月二〇日建設省訓令五号)七条も、文化財保護法等により指定された特殊な土地等の取得または使用の場合においてこの訓令の規定によりがたいものは、その実情に応じて適正に補償するものと定めている。
従つて、本件堤防が河川管理者である被告に帰属していたとしても、本件改修工事により本件輪中堤を取り壊してその文化財的価値をも滅失させたのであるから、右輪中堤全体の文化財的価値の評価額を二五、〇〇〇、〇〇〇円とし、これを本件堤防敷地面積に応じて配分した額をもつて本件堤防の文化財的価値



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