◆S53. 4.28 名古屋地裁 昭和43(行ウ)9 補償金増額請求事件(9)
補償基準」七条も文化財保護法等により指定された土地等に関するもので、文化財の価値の程度・保護の要否については高度の専門的知識による判断を要することから、その補償についても文化財保護行政の専門機関による指定の有無を尊重するとの考えに根ざしている。
仮に本件輪中堤が文化財的価値を有するとしても、輪中堤たる堤防は被告に帰属する河川管理施設であり、その占用を原告に許可したことによつてその文化財的価値を原告が専属的に享受するものでもなく、また、その占用を取消したからといつて右文化財的価値が失われるものでもない。また、本件輪中堤は一部が残存してその面影を保つており、右文化財的価値の損失はさほど大きくない。さらに、文化財を個人から収用するときはその文化財的価値は特殊な主観的利益となるが、かかる主観的感情的利益の損失は受忍すべきである。
第三 証 拠(省略)
○ 理由
一 愛知県海部郡<地名略>地内のいわゆる福原輪中堤(以下、本件輪中堤という)は原告主張の経緯でその大部分が堤防敷、次いで河川付属物に、右輪中堤外の山林原野(別紙目録記載の土地〔以下、本件土地という〕のうち地目山林・原野の土地)が河川敷に各認定され無補償で私権が消滅したこと、原告は昭和三九年八月二〇日右私権消滅の各個所につき占用許可を受け、その後、昭和四〇年四月一日以降河川法(昭和三九年法律第一六七号)の施行に伴い、本件輪中堤とその敷地および右河川敷地はいずれも国に帰属することになつたが原告は引き続き占用してきたこと、昭和四〇年五月二四日に至り、建設省中部地方建設局長は長良川改修工事の必要から原告の右占用許可を同年五月三一日かぎりで取消したため、原告は右取消に伴う損失補償について同建設局長と協議したが不成立に終つたので、同年六月一四日愛知県収用委員会に裁決の申請したところ、同収用委員会は同四二年一二月二〇日原告主張どおりの裁決をなしたこと、原告は被告から同四〇年七月二八日既に受領した見積損失補償額二、五六〇、五〇八円と、右裁決額七、六三三、六九九円との差額五、〇七三、一九一円を同四二年一二月二五日各


