行政訴訟判決…補償金増額請求事件(23)


◆S53. 4.28 名古屋地裁 昭和43(行ウ)9 補償金増額請求事件(23)

◆S53. 4.28 名古屋地裁 昭和43(行ウ)9 補償金増額請求事件(23)

であつた。)、請負新田を開発した地主Hが自費で独自に築造し、明治時代以降も同家が主体的に維持してきたものであつたこと(輪中堤を新しく造るといつた大工事は何らかの形で幕府・大名の資金的援助を仰ぐのが実状であつた。)および輪中堤内の住民が輪中堤の維持・強化に日夜腐心して自らの手で生命・財産を保全し、輪中堤を中心とした地域共同体の自治の象徴的存在であつたこと(明治政府以降、河川管理に関する国の力が強化されるにつれ、輪中堤の管理も次第に国の手に移り、それにつれて、輪中民の自ら輪中堤を維持強化していくという意識が弱まるのが実態であつた)。二、水防機能からみた場合、本件輪中堤のうち突出堤は、明治時代中期、前記三河川分流工事に関連して立退きを余儀なくされた住民十数戸を環状堤外に収容するために環状堤北部に築造されたもので、洪水から右住民を譲り、突出堤・環状堤間の区域を静水域にし、土砂を堆積し、併せて環状堤を補強するといつた諸機能を有し、他の輪中堤には見られない特色ある性格を持つていたこと。三、輪中堤としての一般的特質を見た場合、輪中堤は治水の基本策として発展し、わが国治水史上独自の位置を占める。即ち、一五、六世紀以降、農業を中心とした社会的生産の発展と共に、大河川下流域の開発がなされるに至つたが、木曽・長良・揖斐三河川流域においては、中流域の扇状地と下流域の三角洲地帯が直ちに接合する河流状態は河道を極めて流動的にし、流出土砂の堆積によつて網の目状の河流の各所に開発可能な高所を造成するに至るという地理的条件に対応して、その高所のうち比較的に安定した土地が耕地として開発されることとなつたが、右開発の過程における治水策が輪中堤生成という形で現われたのであり、先に認定したとおり、本件輪中堤は正にかかる輪中堤のうちの一つであつたこと、従つて、本件輪中堤は、江戸時代末期以降の策堤技術の推移、新田開発による農業生産の発展、治水事業の進歩および村落共同体の実態等を知るうえでまたとない資料を提供するものであつて、従つて、また高等学校の社会科地理の教科書において、村落形成の形態の一つとして「輪中」即ち本件



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