行政訴訟判決…補償金増額請求事件(24)


◆S53. 4.28 名古屋地裁 昭和43(行ウ)9 補償金増額請求事件(24)

◆S53. 4.28 名古屋地裁 昭和43(行ウ)9 補償金増額請求事件(24)

輪中堤が紹介されていることをそれぞれ認めることができる。
右認定事実によれば、本件輪中堤は歴史的・人文地理学的にすぐれて価値の高いものであるということができるから、右輪中堤は前記文化財的価値を有するものということができる。そして、かかる文化財的価値が本件収用にあたつて、どのように補償せらるべきかは問題であるが、公共事業の施行に伴う公共補償基準(昭和四二年二月二一日閣議決定)によれば、公共施設等の補償は、同等物を建設してするとしている。そしてその一四条によれば、公共機能が失われても公益を害しないような場合には一般の補償基準によるとしていることから考えて、本件輪中堤は先に認定したところより公共施設とみることができるが、国による新堤の建設のため収用により公共施設としての機能を失い、かつ他に同等の施設が必要ともいえない本件においては、等質物の建設費を以て補償することもない。結局輪中堤の経済的価値を算定し、その限度で補償すべきこととなろうが、前記のとおり歴史的・人文地理学的な価値は、いわば一般国民全体にとつての公共的価値であり、本件の如く本件輪中堤を占用する個人の経済的利益が増加するものでもないと考えられるし、そもそも、右にいう文化財的価値自体には経済的価値は算定することができないものと考えるべきであろう。
ところで、前掲各鑑定の結果によれば、各鑑定人において、本件輪中堤の文化財的価値の評価額が右堤防の再調達原価(再建設費)に対する一定比率をもつて算定し、かつ、右一定比率につき、裁判例(鳥取地方裁判所昭和四四年(ワ)二一〇号同四七年三月一七日判決)における神社大鳥居の再建費用に対する歴史的価値の比率七対二を参考にして、それぞれ三対一、二対一と算出していることを認めることができるけれども、その算定根拠について、首肯するに足りる合理的説明を欠くものであつて、当裁判所の採らないところである。而して他に前記文化財的価値を補償すべきであることを認めさせるに足りる適切な証拠はない。従つて右補償を求める原告の主張は理由がない。
六 以上各認定したところに基づき、本件土地の占用



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