◆S53. 5.11 大阪地裁 昭和45(行ウ)38 法人税贈与税更正処分取消等請求事件(10)
ることもできず、長期間の保育を義務づけられている。従つて、右のごとき義務を負う育成会社の株式保有による利益は毎期利益のうちから株主に還元される一定の配当金のみであり、自己資本の充実という目的のために株式投資の形式がとられ投入された資金は資本に組入れられるが、その実態はむしろ金融に近いものであつて、投資先の経営状態如何によつては投入資金が確実に返還されるという保証はなく、育成会社の危険負担は大きい。かような制限あるいは危険負担を考慮すると育成会社の引受けた株式は特殊なものであつて、育成会社が保有する株式の算定に当つては、一般株主の立場に立ち、配当を主体とした算式によるべきであるから本件株式の算定に育成会社の評価基準を適用することは極めて不適当である。
(二) 法人税法基本通達の株式評価損に関する規定で採用されている類似会社比準方式について
原告らは、法人税法基本通達の株式評価損に関する規定における類似会社比準方式によるに当り、類似会社として丸大食品株式会社を選択しているが、同会社は食料品の製造販売を営むとはいえ、畜肉、ハム、ソーセージを主体とする肉製品製造販売業であり、蒲鉾を主体とした水産物加工品の製造販売業を営む大寅とは事業の種類が異なつており、さらに事業の規模、収益の状況等を比較しても相当の差があり、丸大食品が大寅と類似しているとは認められないから、大寅の類似会社として丸大食品を選択したことは誤りである。
(三) 相続税財産評価通達の類似業種比準方式について
相続税財産評価通達によれば、株式の価格は当該株式を取得した者が同族株主か非同族株主か、株式の発行会社が大会社か中会社か小会社かに応じてそれぞれ異なつた方法により算定することになつている。しかるに原告らが挙げる類似業種比準方式は非同族株主が大会社の株式を取得した場合の価格算定方法であるが、本件株式は同族株主が取得したものであり、しかも株式の発行会社は中会社に当るのであるから、右方式が大寅の株式の価格算定に不適当であることは明らかである。
(四) 銀行等の金融機関が買取る場合について


