◆S53. 5.11 大阪地裁 昭和45(行ウ)38 法人税贈与税更正処分取消等請求事件(14)
内部に留保され、利益の増加が直ちに株主への配当の増加につながることが少なく、配当は株式価値の決定要因としてあまり意味をもたないことを考えると、同会社の株価の算定に右方式を採用するものは妥当性を欠くものといわざるをえない。
(2) 収益還元方式
右方式は、当該会社の株式の一株当りについて将来各期に期待される純利益を一定の資本化率(還元率または割引率)で還元し、元本である株式の価額を算定する方式である。これは会社にもたらされる将来の利益が株式の価値を決定するという考え方を基盤にするものであつて、株主に対する配当のみならず会社内部に留保される利益の増大にも関心を持つ支配株主が所有する株式の評価方法として適切であるということができ、したがつて大寅の支配株主であるBが所有する同社の株価方法としては最も合理性を有する。
(3) 純資産価額方式
純資産価額方式は当該会社の純資産額を発行済株式総数で除する方法である。そもそも、株式は会社の純資産に対する持分としての性格を有し、株主は会社財産に対する分配請求権を保有しているが、ことに規模のあまり大きくない会社で支配株主が所有する株式については経営支配性が強く、会社資産に対する持分としての性格に重きがおかれることになる。そして前記2の(一)ないし(七)において認定したところによれば、原告会社が本件株式を取得した目的は、専ら支配株主であるBから原告Aに対して大寅の経営支配権を移転させることにあつたのであるから、純資産価額方式によることも合理性を有するということができる。
ところで、純資産価額方式には、(イ)純資産簿価方式、(ロ)純資産時価方式、(ハ)純資産処分価額方式の三方法がある。このうち、(イ)の純資産簿価方式は純資産を簿価により評価する方式であるが、簿価が会計帳簿上の記録にすぎず、資産の客観的交換価値を正当に表現している保障がないから、この方式は採用できない。つぎに(ロ)の純資産時価(個々の資産の再取得価格の総計)とは、会社が一体として他の経済主体に移転され、再びそこで使用されると仮定した場合に、当該会社が


