◆S53. 5.16 東京地裁 昭和47(行ウ)36 告示無効確認請求併合事件(7)
統制額を超える賃料を請求されないという利益を有することになるとの反論がなされるかも知れない。
しかし、具体的契約における賃料の額は、あくまでも最終的には適正賃料額との関係で決まるものであるから、適正賃料額が告示に基づく統制額を超える場合に、貸主が、裁判等の手続をきらうなどの理由で、統制額の範囲内での賃料額しか請求しないことがあるとしても、それによつて借主が受ける利益は、貸主が正当な権利を行使しないことによる反射的な効果にすぎないのであり、また、本件各告示の無効確認又は取消しによつて右のようなことが期待されるとしても、それは単に事実上の期待にとどまるものであつて、このような反射的効果あるいは事実上の期待にすぎないものが法律上の利益に該当しないことは多言を要しない。
4 既に述べたように、本件各告示による統制額は具体的賃料を直接決定するものでないのみならず、裁判等によるときは具体的賃料の決定において統制額の制限を免れることもできるのであるから、統制額の増額によつて、賃借人は必ずしも直接具体的に権利あるいは法律上の利益を侵害されるわけではなく、その抽象的可能性があるというにすぎず、本件各告示を行政処分とみても、このような段階で出訴を認めることは訴訟の対象となるべき争いの成熟性に欠けるものである。結局、賃借人としては、具体的に賃料増額請求がなされた場合に裁判等の手続において争えば足りるといわざるを得ない。
したがつて、本訴はいずれも具体的事件性又は争いの成熟性を欠いており、不適法な訴えというほかない。
5 なお、昭和四九年告示の無効確認又は取消しを求める訴えについては、右告示が統制額の算出の基礎となる固定資産税標準額を「当該年度の額」(昭和四六年告示)から「昭和四八年度の額」に据え置く旨改正したものであり、現在の土地価格の高騰に照らせば、同告示は原告らにとつてむしろ有利な改正であることからいつて、原告らには、その無効確認又は取消しを求める訴えの利益がないというべきであり、右訴えは不適法である。
6 以上のとおり、本件各告示はいずれも抗告訴訟の対象と


