◆S53. 9.13 東京高裁 昭和52(行ケ)1 選挙無効請求事件(33)
表区における定数増という方法のみによつて常に処理することは理論上の欠陥と実際上の限界を伴うものであり、同時に過大代表区における定数減をし、あるいは総定数を不動のものとして全選挙区についての定数配分の全面改正を図るということがより投票価値の平等の要請に合致する所以であるというべきところ、過小代表区について選挙無効の判決がなされた場合には、当該選挙区のみについて、右のような改正後の新規定の定めに従つて再選挙が行われることとなるわけであるが、かくては、全選挙区を通じてみると、新、旧両規定に基づく議員定数が混在することとなり、その間に果たして真に投票価値の平等が全体として図り得ることになるのか必ずしも保し難いものがあるといわざるを得ない。
以上のように、選挙無効の判決をすることには、かえつて憲法の要請する投票価値の平等の要請にそわない弊害があるとともに、必ずしも実効性を伴わない欠陥があるというべきなので、本件訴訟については、選挙が違憲であるとの理由をもつて直ちにその無効を宣言することなく、行政事件訴訟法第三一条第一項前段の法理により、原告の請求を棄却するとともに同項後段により本件選挙が違法であるとの宣言をするのが相当というべきである。公選法第二一九条の規定もかかる事件について行政事件訴訟法の右条項の法理によることまでをも排斥する趣旨のものではないと解する。
三 よつて、原告の本訴請求を棄却し、本件選挙が違法であることを宣言することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法第七条、民事訴訟法第九二条但書を適用して主文のとおり判決する。
(裁判官 安岡満彦 内藤正久 堂薗守正)


