◆S53. 9.13 東京高裁 昭和52(行ケ)1 選挙無効請求事件(25)
について判断をする基準を持ち合わせていないから、判断を自制すべきであるとの見解に依拠しているものと解されるのである。しかし司法的判断のための基準が欠如しているといえないことは後述のとおりであるし、しかも選挙権平等の原則は、まさに代表民主制を支える根幹そのものであるから、これが国会の立法によつて侵されているという場合には、代表民主制が十全に機能していないというべき筋合である。そうとすれば、議員定数の定めが選挙権の平等に反するとして裁判による救済が求められている場合に、代表民主制の法理を根拠として裁判による救済を拒否することは、背理というほかなく、被告の本案前の申立は、根拠を欠くものであり、排斥を免れないものといわなければならない。
二 本案についての判断
1 憲法第一四条第一項、第一五条第一項、第三項、第四四条の規定は、少くとも選挙人資格の差別の禁止あるいは一人一票の原則(選挙権行使の平等または計算価値の平等)を意味するものであることはいうまでもないところであるけれども、憲法の右各規定が選挙権平等の理念の歴史的発展過程の中における一の所産であつて、憲法前文が代表民主制を人類普遍の原理として謳つていることに徴しても、右理念は代表民主制を支える根幹としてさらに徹底して発展させ追求されるべきものであり、そうとすれば、選挙人の資格による差別が許されないとともに、住所(選挙区)による差別も許されないものと解すべきであるから、憲法の前記各規定は、単に前述のように選挙権の行使の平等を保障するに止まらず、選挙権の内容の平等すなわち各選挙人の投票が選挙の結果に及ぼす影響力においても平等であること(投票価値あるいは結果価値の平等)をも保障する趣旨を包含するものと解するのが相当である。
従つて、本件選挙が、各選挙区間の議員定数配分の不均衡を理由に違憲となるか否かについて判断するにあたつては、昭和五〇年法律第六三号による改正後の公選法別表第一及び同法附則第七項ないし九項による選挙区及び議員定数の定め(以下「本件議員定数配分規定」という。)に従つて実施された本件選挙における各選挙


